大嶋聖一

(ポピュラリズムについて)瞬間の風向きと強さで、長期的な政策の方向性が決まってしまうわけですね。身近な行政(例えばごみの回収日をいつにするか、列車の社内の冷房の温度をどうするかといったこと)などはかえってこの方がよさそうですし、「朝令暮改もまたよし、方向転換のたびに余計なコストがかかるがそれはやむをえない経費ということで」と割り切ってしまえば、長期的政策を決めるのにも不都合はなさそうです。例えば「リニア新幹線は着工と中止を繰り返して100年後に完成、それで満足」という感じでしょう。中世の教会みたいですね。 (ポピュリズムについて)「敵の敵は味方」という地政学・政治上の古来の知恵が通用しなくなっていることにもかかわっているのではないか、と思います。民主党や共和党の内部分裂、中東などがその典型例です。サンダース支持派がクリントン嫌いが高じて、民主党の政策といった大局よりむしろクリントン落としを選ぶ、反トランプ派が共和党という共通の枠組みを捨ててトランプ落としで運動する、という感じです。合理性に基づく大局観より、個人の感情を重視するポピュリズムでは「敵の敵はやはり敵だった」ということになります。